論)儀式基礎:小五芒星儀礼

そろそろ本格的に「魔術っぽい」事を始めます。魔術そのものは瞑想ですでに始めてはいるのですが。儀式になると、やはり雰囲気がひとつ違いますね。
今回は、儀礼を始める前に大抵の場合で行われる「カバラ十字」と、最もベーシックな「小五芒星儀礼(The Lesser Ritual of the Pentagram)」のうち、特に「祓う(追儺:Banishing)」儀礼を学びます。
「祓う」という概念ですが。大雑把に「霊的なお掃除」くらいのイメージを持っていただければよいです。

まずは儀礼の順番を確認しましょう。順番は「カバラ十字」->「小五芒星儀礼」->「カバラ十字」となります。

カバラ十字の実践

カバラ十字は端的にいうと「儀式と日常との境目を区切るため」に用いられます。儀式開始時のカバラ十字は「これから儀式をやりますよ〜」っていう宣言になり、儀式終了時のカバラ十字は「これでお仕舞い」って宣言ですね。
細かい背景理論はそのうち書きますが、今は上記のようなイメージを持っていただければ十分です。
というわけで、実際にかバラ十時を切ってみましょう。

本式にはダガー(短剣)を右手に持つべきなのですが、略式には指剣を用います。まず右手をグーに握って全部の指を曲げてから、中指と人差し指だけをまっすぐ伸ばします。ほら、ちょっとした剣みたいでしょ? だから、指で作るので「指剣」っていいます。
指の動きとしては、左手を「きをつけ」のように下にしつつ、先ほどの右手の指剣を額、みぞおち、右肩、左肩に移動(この時点で十字が切れてます。いわゆるクリスチャンの十字とは少し違いますが)。最後は両手を胸で合わせる。
たったこれだけです。で、これに実際には言葉が付きます。指の動きをもう一度書きながら、言葉をつけてみましょう。
額「アテー」 みぞおち「マルクト」 右肩「ヴィ・ゲブラー」 左肩「ビ・ゲドゥラー」胸の前で両手を組んで「レ・オラウム・エメン」
それぞれの言葉は「軽くさらっと」発音するのではなく、できればある程度伸ばしながら発音しましょう。多くの本では「言葉を振動させる」と記述されています。
儀式開始時は、このカバラ十時によって「自らが光り輝く衣に覆われて、儀式を行う魔術師と成る」イメージをしっかりと持ちましょう。
逆に終了時は「纏っていた光の衣が脱ぎ去られて一般人に戻る」イメージを持ってください。
なお、多くの儀礼において(以下に説明する小五芒星儀礼もそのひとつ)、方角は非常に重要です。大抵の場合は「東を向いてスタート」するので、カバラ十字も「東を向いて」行いましょう。
見やすい方位磁針があると便利です。

小五芒星儀礼:祓いの実践

続いて、本番の儀式を。今回は追儺なので、使用する五芒星は「地の退去」になります。地は現実世界を意味し、退去はそのまま「さようなら」。つまりこの場所から「現実に対して影響を与えてきそうなさまざまなものをとりあえず一通りお片づけしよう」ってイメージになります。
一筆書きの五芒星(☆)はかけますよね? 問題は「どこから書き始めるか」になります。
地の退去の場合、左下からスタートして頂点、右下、左上、右上、左下、の順番になります。これは大切だし頻繁に出てくるので覚えておきましょう。

では、実際の儀礼の手順を順を追って記述していきましょう。

東に向かってカバラ十字を行います。これによってあなたは「儀礼を行う魔術師」になります。

指剣をもちいて、東に大きく「地の退去の五芒星」を宙に描きます。ヴィジュアライゼーション(視覚化)の訓練をして、描いた「地の退去の五芒星」が炎に包まれ燃え盛る様子、或いは光り輝く様子を目に焼き付けます。
そうして、指剣で今描いた「地の退去の五芒星」の真ん中を差し、ゆっくりと振動させながら神聖な御名を唱えます。「ヨド ヘー ヴァウ ヘー(YHVH)」。

南に向き直り、同様に「地の退去の五芒星」を宙に描きます。描いた後に振動させる神聖な御名は「アードーナーイー(ADNI)」。

西に向き直り、同様に「地の退去の五芒星」を宙に描きます。描いた後に振動させる神聖な御名は「エーヘーイェー(AHIH)」。

北に向き直り、同様に「地の退去の五芒星」を宙に描きます。描いた後に振動させる神聖な御名は「アーグーラー(AGLA)」。

東に向き直り、直立の姿勢から両腕を地面と水平になるまで持ち上げます。体全体が十字になる感じです。
「わが前にラファエル(Raphael)」東の方角に天使ラファエルをイメージします。風をつかさどり、癒しの黄金の香油の入った小さな壺をもつ天使です。
「わが後ろにガブリエル(Gabriel)」西の方角に天使ガブリエルをイメージします。水をつかさどり、天使の中で唯一明確な「女性」という性別を与えられた、メッセージを伝える天使です。
「わが右手にミカエル(Michael)」南の方角に天使ミカエルをイメージします。炎をつかさどり、剣と楯を持つ勇ましい天使です。
「わが左手にウリエル(Auriel)」北の方角に天使ウリエルをイメージします。大地をつかさどる天使です。

そのままの状態で、四方位の五芒星と天使を視覚化しつつ…
「わが四囲(しい)に五芒星は燃え上がり」 と同時に、視覚化している五芒星が燃え上がる様子をさらに視覚化します。
「わが頭上に六つの星は輝けり」頭のさらに上のほうに六芒星をイメージ、その六芒星が光り輝き周囲をあまねく照らす様子をイメージします。

終了。
なにか儀式をするのであればこのまま続けますが、ほかに何もしないのであれば、このままもう一度「カバラ十字の実践」を行い、完全に終了させます。
瞑想のための追儺なら、カバラ十字を切って完全終了させてから行いましょう。

瞑想の前など、霊的な作業の前には「いまからお仕事をするからまずテーブルを拭いて」くらいの感覚でさくっと追儺をする癖をつけておきましょう。


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